漢方には、古くから体質改善の効果があるとされています。
漢方に使われる生薬は、ホルモンバランスの乱れや血行不良を改善へ導きます。専門クリニックにおける女性の薄毛治療に、漢方が使われることも少なくありません。
漢方と抜け毛の関係や、髪に悩んでいるときに試してほしい漢方薬についてご紹介します!
薄毛治療のため漢方で体質が改善できる?
頭皮は、髪が育つ「土台」となる部分。頭皮、そして身体の調子が乱れていると、健康な髪は生えません。
漢方医学には「気・血・水」という概念があります。このバランスが乱れてしまうと、あらゆる体調不良やトラブルが起こると考えられます。
体調不良には、血が不足した状態(血虚)、気が足りない状態(気虚)、内臓機能が低下した状態(腎虚)などが一例として挙げられます。
生薬の力を利用する漢方では、血行促進、血液や気の補給、衰えた内臓機能の回復といった効果を期待できます。
こうした身体の不調が解消されると、髪のトラブルも改善へ導かれます。漢方による体質改善は、巡り巡って女性の抜け毛・薄毛治療につながるのです。
漢方治療のメリット
さまざまな生薬が使われている漢方薬は、一人ひとりの体質や症状に合わせて処方できることが最大のメリット。あらゆる不調に対応し、幅広い年齢層にアプローチできます。
特に女性は更年期に差し掛かると、動悸やのぼせ、めまい、過度な冷え、全身のむくみ、苛立ちといった症状がでてきます。
漢方薬は多方面へ及ぶ症状をトータルで改善する上でも、活躍してくれます。
そして天然由来成分のため、副作用の心配もありません。
生薬の力で身体を内側から整えれば、髪にまつわるトラブルだけでなくお肌の不調などもトータルケアできます。
漢方医療から考える女性の薄毛3つの原因
血虚・気虚・腎虚は、必要な要素が足りない、また偏っている状態。もちろん、髪にも悪影響があります。
「血・気・水」が薄毛にどのような悪影響を与えるのか、具体的にチェックしていきましょう。
血虚(けっきょ)
血虚は身体づくりに必要不可欠な「血」が足りない状態。
血行が悪くなると栄養や酸素が十分に行き届かず、貧血、めまい、しびれ、けいれんといった症状が出ることも。
さらに、頭皮のかさつきや抜け毛、白髪にもつながります。
髪は、血液循環によって栄養が届き、育っていきます。そのため血行不良によって頭のてっぺんまで栄養が届かなくなると、毛根が栄養不足に陥ります。
血行不良は、髪を育てる力を弱め、薄毛へ導いてしまうのです。
血虚は、お肌や爪の状態など、身体の表面に症状が出やすいのが特徴。
もちろん頭皮環境も悪化してしまいますから、かゆみやフケも出やすくなります。
気虚(ききょ)
気虚とは、気が不足している状態のこと。エネルギーがみなぎっておらず、身体全体にハリや痛みが起きやすくなります。
例えば強いストレスを受けることで気の流れが滞ると、内蔵機能や免疫機能が低下し、自律神経の乱れにもつながってしまいます。
また、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」は、健やかな髪を育てる上で欠かせません。
そして自律神経の働きは、エストロゲンの分泌とも関係していることから、気虚の状態に陥ることで、抜け毛が増えてしまいます。
腎虚(じんきょ)
漢方医学による「腎」とは腎臓に限らず、生殖器、ホルモン代謝、自律神経、免疫など身体全般の機能のこと。
そして腎は、髪もつかさどる部位です。腎気が衰えることによって、髪の機能低下につながります。
気だるさ、耳鳴り、ホルモンバランスの崩れといった、老化現象も引き起こしやすくなり、抜け毛も増えてしまいます。
漢方薬はどれを選べばいい?
それではさっそく、薄毛改善のために使いたい漢方薬を症状別にご紹介していきます!
まず、「血虚」に効果的な漢方薬はこちら。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、顔色が悪くなるような冷えに適した漢方薬です。
当帰(とうき)によって血液を補った上で、白朮(びゃくじゅつ)と茯苓(ぶくりょう)によってむくみを除去。その上、胃腸を整える効果も期待できます。
女性の場合は、更年期、月経不順の緩和のために用いられることもあります。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
胃腸の働きを活性化し、栄養の吸収率を高め「気」と「血」を増やすことを目的にした漢方薬です。気と血の両方を全身に巡らせます。
続いて「気虚」に効果的な漢方薬はこちら。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこぼつれいとう)
疲労やストレスから悪影響を受けた「気」の巡りがよくなり、身体にこもった熱を落ち着かせる効果が期待できます。心が穏やかになり、脳の興奮で引き起こされる不眠の改善にもつながります。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
消化器の働きを促進し、栄養を行き渡らせる漢方薬です。気を増やし、血と水の両方を補うことにもつながります。
最後に、「腎虚」に効果的な漢方薬はこちらです。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
腎気丸(じんきがん)の別名を持ち、かねてより腎虚に使われてきた漢方薬です。
腎の働きにアプローチする8種類の生薬によって、新陳代謝を促進。
特に附子(ぶし)は身体をじっくり温めてくれる生薬のため、慢性的な冷えや血行不良を改善へ導きます。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
血行を促進する生薬やデトックス効果の期待できる生薬による漢方薬です。
むくみ、頻尿に効果が期待できます。止痛作用もあり、腰痛や下半身の痛みが気になるときにもおすすめです。
漢方薬は、言うならばオーダーメイドアイテムのような存在。
具体的な症状はもちろん、一人ひとりの体質、体力、ストレス状況を考慮した漢方薬が処方されます。
そのため、症状は同じでもまったく別の漢方薬をすすめられることもあります。
漢方薬はドラッグストアでも入手できますが、本当に自分に合っているものを使うためには、病院へ足を運んで処方してもらいましょう。
生活習慣も見直そう!
漢方では「健康を促進して、寿命を大切に使う」という意味を持つ「養生(ようじょう)」という考え方があります。
養生の考えでは、体調不良、ストレス、抜け毛や薄毛といったトラブルは、症状が本格化する前の「未病」のうちにケアすることが肝心。
意識的に栄養を摂取する、ストレスをこまめに解消する、質のいい睡眠を心がける、適度に運動するなど。
日々の生活の中に、正しい習慣を取り入れて「養生」につなげましょう!
食事でも「漢方」を意識
薄毛を防ぐためには、栄養バランスの優れた食事が欠かせません。
髪のもとになるタンパク質、ビタミン、ミネラルを中心に、幅広い栄養を摂取しましょう。
また、毎日の食卓の中でも漢方を意識すれば「血・気・水」を整えることにつながります。
漢方の観点から、おすすめしたい食材はこちら。
・ナツメ(気を補う)
・ウコン(酸化ストレスに効果あり)
・ハトムギ(イボやシミ改善に効果的)
・黒豆(腎に作用してむくみを解消)
・シナモン(血巡りに効果的)
参考書籍「血流美人」
著者:赤澤純代
頭皮マッサージで血流を改善
頭は身体の末端にあり、血流が滞りやすくなる場所です。
そのため、適度な運動や栄養補給によって意識的に血行を促進することが大切。特に、頭皮のマッサージは血流改善に効果が期待できるため、お風呂上がりや就寝前の習慣にしましょう。
コツは爪を立てず、優しくマッサージすること。頭皮を傷つけないよう、育毛剤などを使いながらケアしてください。
まとめ
体質を改善して薄毛を予防・改善しよう!
漢方は、即効性の高いケアではありません。
長く続けるうちに少しずつ体質を改善でき、薄毛を根本的な原因からの解決が期待できます。
体質改善の効果は髪だけにもたらされるのではなく、お肌や心も影響を与え、毎日を元気に過ごせるようになるのもメリット。
薬は使いたくない、また薬によって身体に負担をかけたくないときにも安心です。
内側からできる頭皮や育毛ケアとして、試してみてくださいね!
また、外側からもケアしたいなら、薬用の育毛剤を使いましょう。
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